2)知識の構築の養成 子供たちが知識を得るのは直接に教師から言葉や本によって詰め込まれるだけでなく、子供自身の行動・活動を通じて次々に構築されるものである。 例えば、「木」について生徒が真の知識を得るのは「木」についての説明を言葉で聞いたり、本の絵などを見てではなく、子供たちが自分で「木」の生きている環境の中で経験すること。つまり「木」を見、触り、臭いをかぎ、木を使った仕事などをする等、実践の中から「木」のことを徐々に知るようにすることである。 このような研究の結果があるにも関わらず、殆どの学校教育では、依然として、何十人もの大きなグループを教師が一方的に教えること、または教科書や本を暗唱させたりしている。 現実を見つめ直し、経験・行動を通じて真の知識を獲得するように、もう一度原則に戻って教育方法を検討すべきである。(Wisconsin Department of Pub1ic Instruction要約、1994)
3)環境倫理の発達 倫理観の基礎は知識ではなく、感情・情緒である。それは数字や言葉ではなく、心の問題であり、善悪に関する直感的な気持ちや慈悲の問題である。従って幼児期の自然の中での豊かな感覚と情緒の発達を得ることが必要である。 認識的な次元(知識、技能、参加等)で得たことは行動の指針や理論的支援にはなり得ても、行動の原動力、動機とは成り得ない。しかし、一般に年齢が高くなるに連れて、教育の重点は感覚・感情的な次元から知識・技能・経験の次元に子供の成長と共に移っていく。(Wisconsin Department of Public Instruction要約、1994)
4)市民活動技能の養成 一般には小学生のレベルでこの養成を始めるにせよ、年齢が上がるに連れて強調されていくものである。この技能の中核になるものは調査と解決の能力である。その能力をさらに分析して列記すると以下のようになる。 ○環境諸問題の具体例とはどんなものか認定し、明確にそれを説明する能力 ○それらの問題を解決することを試みている個人やグループと各々が代表する価値観の立場を確認・理解する能力 ○参加者達によって提案された解決策が環境や社会にどのような影響を与えるかを評価する能力 ○問題に関する追加の情報を専門家などの二次的なソースから収集し、彼らが書いたもの等を読んだりする能力 ○さらに直接にその問題に関して利害関係にある人々から一次的な情報を収集する能力 ○集めた情報を解釈する能力 ○問題を解決するためのアクション・プランを開発する能力 ○それらのアクション・プランの結果を実行し、評価する能力 以上のような諸能力を発達させるために有効な3つの戦略がある。第1に、環境問題のケース・スタディーを手段にする方法。第2、第3の戦略は、グループ調査と個人的調査の方法である。(Wisconsin Department of Pub1ic Instruction要約、1994)
5)市民活動経験の養成 市民活動技能を発達させても、社会で問題に取り組み、それを現実に解決するための経験をして、学校で学んだことが役に立つかどうかを試す機会がなければ、せっかくの努力がムダになる。小学生でも物を買う時の心配りについて、また植樹活動などを経験できる。
前ページ 目次へ 次ページ